至福

本番がやってきた。勝負は一瞬。だがその一瞬を最大限に楽しむべく、脳内麻薬物質を大量分泌させて時の流れを緩めてみるという荒業に挑戦。ミキティをスルーした俺の視界にはもはや紺野あさ美嬢ただ1人しか入っていない。最初の一瞬はまだ前のファンの方を向いている紺野。幸い前の人はミキティ派だった為、紺野はあっさりスルーしてくれた模様。次の瞬間、俺の目の前に差し出された紺野の手を両手でしっかり包み込み(強すぎず弱すぎず)、紺野の目を見つめる。最初目が合った時の紺野は流石に表情に疲れが見えた。大変だろうけど、後半分、最後まで頑張ってねっ!!という思いを込めつつ、「いつも応援してますっ!!」と、力強く声を掛けた。その途端、紺野の顔がぱっと明るくなった(気がした)。そして紺野が「あ…」と何か言いかけたところで無常にも時間切れ。至福の瞬間は終わり、時の流れは元に戻る…。
その間、2秒余りの出来事であった。